作者別: bendahara

第 51 回 日本インドネシア学会大会 発表要旨集

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第 51 回 日本インドネシア学会大会 発表要旨集
Kumpulan Abstrak Makalah Simposium Ke-51
Himpunan Peneliti Indonesia Seluruh Jepang

2020 年 11 月 7 日(土曜日)
Sabtu, 7 November 2020

自由発表 01
■ インドネシア語の最上級について
(Tingkat Superlatif dalam Bahasa Indonesia)

佐近 優太(東京外国語大学大学院博士後期課程)

インドネシア語は最上級を形成する手段として paling と接頭辞 ter-という二つの形式を持つ。両者について、paling は形容詞に関して基本的に共起制限を持たないが、接頭辞 ter-は一部の例外を除き二音節以下の語根にのみ接続するという形式的差異が存在する(Sneddon et al. 2010; Alwi et al. 2007)。しかし意味・機能面について考察した先行研究は少ない。そこで本発表では、Leipzig Corpora Collection 内のそれぞれ 30 万文からなる 3 つのサブコーパスデータを基に、意味面における形容詞と paling・接頭辞 ter-との関係性及び、両形式の意味・機能の差を統計手法を用いつつ定量的に調査することを目的とした。結果として(i)同じ種類の形容詞は同じ最上級形式と結びつきやすいこと、(ii)多くの形容詞において paling と接頭辞 ter-は異なるコロケーションを持つことの二点を報告する。

自由発表 02
■ Imbuhan ‘meN-kan’ Sebagai Pembentuk Alternasi Kausatif
(インドネシア語の自他交替について)

Diess Alwi Tutiarta(南山大学大学院)

Pada penelitian terdahulu, disebutkan bahwa imbuhan meN-kan memiliki makna kausatif, serta aplikatif seperti benefaktif, instrumen, dan lokatif. Makna tersebut muncul dari berbagai macam kata dasar yang menempel pada imbuhan meN-kan. Pada penelitian kali ini, penulis akan mencoba menjabarkan imbuhan meN-kan yang menempel pada kata kerja intransitif yang menyatakan perubahan keadaan. Pada kata kerja intransitif seperti ini, imbuhan meN-kan memperlihatkan alternasi kausatif.  Dalam alternasi kausatifnya, imbuhan meN-kan akan mempengaruhi jumlah argumen serta struktur dari argumen tersebut. Penelitian ini akan menyertakan data yang diambil dari Kamus Besar Bahasa Indonesia (KBBI) serta Corpus Bahasa Indonesia, Corpora Collection Leipzig University.

自由発表 03
■中部ジャワにおける今日の人称代名詞と呼びかけ語
(Personal pronouns and addressing forms in current Central Java)

三宅 良美(秋田大学)

ジャワにおいて、親族内の呼びかけ表現がテクノニミー(相対年齢がもっとも若い子供の視点に基づいている)的であることはかねてから報告されていた(Geertz, C. 1960, Geertz, H. 1961)。

このようなジャワ語の呼びかけ語は、ジャワにおける口語インドネシア語にも拡大している(Lestari 2020)。 Romo, bapak, ibu, mbak などはその例である。また、これらの呼びかけ表現は、二人称として使用されることが多い。本論においては、ジョグジャカルタ市内および中部ジャワにおける言語調査に基づいて、ポライトネスとの関係とジャワ語とインドネシア語とのミキシングに言及しつつ、人称と呼びかけ表現を論じる。

また、 bro, maestro, といった、男性に対する新しい呼びかけ表現が生産されている状況を報告し、それがどのようなコンテクストでなされるのか、また、これをインドネシア語話者たちはどのように評価するのか考える。

自由発表 04
■Kondisi Layanan Halal di Jepang dan Tantangannya – dari Studi Kasus Restoran“Kiwamiya” –
(日本におけるハラール対応の現状と課題―レストラン「極味や」を事例に―)

大形 里美(九州国際大学)

滞日・訪日ムスリム増加を背景に日本のフードビジネス業界においてもハラール対応への取り組みがますます求められている。本発表では、福岡でハラール対応を開始したレストラン「極味や」を事例に、日本におけるハラール対応の現状と課題を考察する。日本においても近年、ハラール・メニューを提供する飲食店が大都市圏を中心に見られるようになってきている。しかしながら、非ムスリムのハラールコンサルタントらは厳しすぎる基準を飲食店側に指導しがちで、割高なハラール食材の費用とハラール認証取得費用に加え、厳しすぎる基準を満たすための高額な投資と高額なコンサルタント料が飲食店側の大きな負担となり、ハラール対応が普及しない原因となっている。福岡マスジドからハラールメニューに対してハラール認証を取得したレストラン「極味や」によるハラール対応の取り組みは、ムスリムが極端に少ない日本社会におけるハラール対応の好事例といえる。

自由発表 05
■Pengajaran Penjodoh Bilangan Berasaskan Data Korpus Digital
(デジタルコーパスデータに基づく助数詞の教育)

Prof. Madya Dr. Norliza Jamaluddin (Universiti Pendidikan Sultan Idris, Malaysia)

Dalam era teknologi digital, penggunaan komputer dalam pengajaran semakin meningkat. Minat yang ditunjukkan oleh pengajar bahasa dalam menggunakan teknologi selaras dengan kepesatan teknologi ini. Dalam pengajaran bahasa, khususnya tatabahasa, data korpus digital kerap kali dijadikan bahan pengajaran bagi membolehkan pelajar meneliti bentuk sebenar bahasa bagi mengetahui perilaku dan struktur sesuatu bahasa. Bagi Bahasa Melayu, dalam mempelajari frasa nama, penutur asing kerap kali berhadapan dengan masalah penjodoh bilangan. Hal ini disebabkan penjodoh bilangan merupakan kata yang menjelaskan bentuk kata nama yang sesuai digunakan dengan sesuatu kata nama. Disebabkan kata nama memiliki pelbagai bentuk, maka dalam bahasa Melayu terdapat lebih daripada 50 penjodoh bilangan. Bagi menjelaskan penjodoh bilangan ini, maka data korpus dapat memaparkan contoh penggunaan yang sebenar. Menerusi data korpus, baris-baris konkordans dapat memaparkan ratusan malah ribuan contoh kehadiran penjodoh bilangan dengan kata nama bagi membantu untuk meningkatkan kefahaman penutur asing terhadap bahasa Melayu.

自由発表 06
■東ジャワ海外出稼ぎ村におけるジェンダー関係の変容:「労働」と「お金」の関係を中心に
(Changing Notions of Women’s Work and Money: Rural East Java in the Era of International Migration)

南家 三津子

本発表では、東ジャワ、トゥルンアグンの海外出稼ぎ村を事例に、女性の従事する「労働」と、報酬として得られる「お金」との関係の変化が、ジェンダー関係に与える影響を考察する。当初の海外出稼ぎ労働者の大半は女性であったため、インドネシア語のよく知られた慣用句である “Suami sebagai Pencari Nafkah(一家の稼ぎ頭としての夫)”という社会通念とは明らかに矛盾する現象が生まれた。伝統的にジャワの女性は、田畑や市場での労働に従事してきたが、その労働が目立った金銭的報酬として現れることはなかった。しかし1980年代後半に始まった海外出稼ぎ労働者の送り出しは状況を一変させた。わずか2、3年の海外出稼ぎ労働であっても、村では一生をかけても難しいレンガ作りの家の建設が可能となる。海外出稼ぎ労働の女性の稼ぐ「お金」は、そんな状況でジェンダー関係のどの部分を揺るがし、村落社会がどのように変化するのかを考えたい。

自由発表 07
■カリマンタンの「無力」な祭司王に関する一考察
(A Study on a “Powerless” king in Kalimantan)

西島 薫(京都大学学際融合教育研究推進センター)

本発表の目的は、西部カリマンタンのウルアイ王(Raja Ulu Ai’)と呼ばれるダヤック人祭司王を事例として、「無力」な王権を成り立たせている要素を明らかにすることである。ウルアイ王は「世界」を支えるとされる神器を管理しているものの、政治経済的には無力な王である。本発表では、第一に、スマトラ、ジャワ、カリマンタンにおける王権の起源神話との比較から、王たちが無力化されると同時に神聖視される論理を明らかにする。本発表では,第二に、ウルアイ王の管理する神器がジャワやバリなどの王権にみられる「世界軸(axis mundi)」としての役割を果たしていること、そして、ウルアイ王権が「インド化」の影響を受けた王権の一つである可能性を指摘する。本発表では、第三に、東南アジア地域における「無力」な王に関する比較研究の展望を示す。

日本インドネシア学会第51回研究大会プログラム

第51回日本インドネシア学会大会プログラム

[2020年11月7日(土曜日)開催]

場所:Zoom ミーティングによるオンライン開催(当番校:東京外国語大学)

  • 開会30分前(10:00)からZoomミーティングに参加できます。
  • 自由発表は1人35分(質疑応答含む)です。時間厳守でお願いします。

 

10:30−10:40 開会の辞,進行説明
10:40−11:15 自由発表01
インドネシア語の最上級について(Tingkat Superlatif dalam Bahasa Indonesia)
佐近優太(東京外国語大学大学院博士後期課程)
11:15−11:50 自由発表02
Imbuhan ‘meN-kan’ Sebagai Pembentuk Alternasi Kausatif(インドネシア語の自他交替について)
Diess Alwi Tutiarta(南山大学大学院)
11:50−12:25 自由発表03
中部ジャワにおける今日の人称代名詞と呼びかけ語(Personal pronouns and addressing forms in current Central Java)
三宅良美(秋田大学)
12:25−13:20 休憩
13:20−14:20 会員総会
14:20−14:55 自由発表04
Kondisi Layanan Halal di Jepang dan Tantangannya –dari Studi Kasus Restoran “Kiwamiya”–(日本におけるハラール対応の現状と課題―レストラン「極味や」を事例に―)
大形里美(九州国際大学)
14:55−15:30 自由発表05
Pengajaran Penjodoh Bilangan Berasaskan Data Korpus Digital(デジタルコーパスデータに基づく助数詞の教育)
Dr. Norliza Jamaluddin(Universiti Pendidikan Sultan Idris, Malaysia)
15:30−15:45 休憩
15:45−16:20 自由発表06
東ジャワ海外出稼ぎ村におけるジェンダー関係の変容:「労働」と「お金」の関係を中心に(Changing Notions of Women’s Work and Money: Rural East Java in the Era of International Migration)
南家三津子
16:20−16:55 自由発表07
カリマンタンの「無力」な祭司王に関する一考察(A Study on a “Powerless” king in Kalimantan)
西島薫(京都大学学際融合教育研究推進センター)
16:55−17:00 閉会の辞

第51回研究大会のお知らせ

日本インドネシア学会の会員の皆様        2020年7月9日

本年度の研究大会に関するお知らせです。

当番校をお願いする東京外国語大学の降幡先生とご相談の結果、11月7日(土曜日)、8日(日曜日)の両日、東京外国語大学において開催いたします。今のところ対面式の予定ですが、コロナの影響によってはオンライン開催になる可能性もあります。

研究大会は、基本的に、一日目をテーマ発表及び総会、二日目を自由発表に充てたいと考えております。ただし、テーマ発表の無い場合は、両日とも自由発表となります。

さて、研究大会に関し、以下の4点、ご連絡申し上げます。

テーマ発表を希望される方は、テーマ発表の趣旨(1,000字以内)に発表代表者氏名を明記した上で7月26日(日)までに下記事務局アドレス宛にご送付下さい。

  1. 応募が複数ある場合には、当番校と事務局で検討の上で決定したいと考えております。なお、8月上旬までにテーマ発表を決定いたします。
  2. 自由発表の募集については、テーマ発表の応募状況などを踏まえた上で、8月上旬までに、改めて当番校から告知していただく予定です。自由発表に関する詳細はその告知をご覧下さい。
  3. 研究大会プログラムの案内及び大会の出欠確認につきましては、9月頃に当番校から改めて告知していただく予定です。
  4. 入会希望の方がいらっしゃる場合、推薦者の方から入会希望者の所属先などの必要事項とともに、事務局までご連絡をお願いいたします。同様に、退会を希望される場合も、ご連絡をお願いいたします。

以上です。

ご質問等ございましたら、事務局までお問い合わせください。

事務局アドレス
humas[_at_]indonesia-gakkai.sakura.ne.jp

日本インドネシア学会事務局
総務担当 原真由子