作者別: bendahara

41 abstract

日本インドネシア学会第41回研究大会 報告要旨


第1日  11月13日(土)

テーマ発表

【発表1】

 氏名  佐々木重次(前東京外国語大学)
 テーマ  「幾つかの新しいイラスト(図解文法)」
 要旨   近刊『インドネシア語の中庭 I 文法篇』の宣伝を兼ねて,「伝統文法、生成文法、機能文法、談話文法」ならぬ私のインドネシア語図解文法の中から,比較的新しく導入したイラスト: アンカーマーク; menolak vs bertolak; mengangkat vs berangkat; I Want You For U.S. Army;mendownload; termasuk (1-2) などを紹介させていただきます。

【発表2】

 氏名  長南一豪(獨協大学外国語学部)
 テーマ  「mau+受身の両義性について」
 要旨  インドネシア語のmau(ingin)+受身には、英語のwantとは異なり、「したい」と「されたい」の両義性がある。Polinsky and Potsdam(2008)は、これはmauが繰り上げ動詞であるためであるとしている。彼らの研究をふまえ、本発表では、(1)mauにはコントロールと繰り上げの2種類があること、(2)mauだけでなくbolehのような助動詞やmulaiのようなアスペクト動詞にもこの2種類があることを主張する。さらに、英語のwantに両義性がない理由や、英語とインドネシア語の助動詞のちがい等の問題について論じる。

【発表3】

 氏名  スリ・ブディ・レスタリ、内海敦子(明星大学)
 テーマ  「インドネシア語口語における ‘sama’の用法」
 要旨  本発表は、ジャカルタを中心として発達し、ジャワ島を含む広い範囲で用いられているインドネシア語の口語変種における ‘sama’の用法を記述し分析した結果を報告するものである。 ‘sama’は、元来形容詞的用法、または形容詞を修飾する副詞的用法をもち、「~と同じ」という意味で用いられる語であったが、現在の口語では前置詞として多用される。「~と同じ」という意味から容易に派生しうる共格の「~と一緒に (‘dengan’に対応)」だけでなく、与格の「~に対して(‘kepada’に対応)」用法があり、加えて受動態における「行為者(‘oleh’に対応)」を表す。本発表では、語彙的意味を持つ ‘sama’が前置詞として機能的意味を持つようになるにいたった意味の拡張のメカニズムについて述べる。

【発表4】

氏名  関昌也(前拓殖大学)
 テーマ  「私見構文論・動詞論」
 要旨  能動態・受動態なる概念はローマ時代のキリスト教ラテン語以来のものであり、キリスト教の原理からのものであった。それは動作者対象原理、一神教的思考性のものである。それ以前の印欧語の言葉遣いは中動態という。この中動態は日本語やインドネシア語との同一性が見られ、それは日本語の「詞の自他」の「自の詞」に概念的に該当する・この「自の詞」の背景は多神教社会の「自然との一体化」からのもであり、「神との一体化」のキリスト教概念の西洋語と対立する。

第2日  11月14日(日)

自由研究発表

【発表1】

 氏名  Edy Priyono(京都産業大学)
 テーマ  Sebuah Tinjauan atas Singkatan di Advertorial Kementerian RI
(インドネシア政府省庁による広報記事の中の略語についての一分析)
 要旨  近年のインドネシア語の広告には面白い現象がみられる。ユドヨノが大統領に就任した2004年以来、各省庁がしばしばマスメディアに広告記事をだすようになったのである。本論文ではこれらの広告、とりわけその中で使用される略語を分析し、その背景を明らかにするとともに、インドネシア政府がめざすインドネシアの将来像を探る。
たとえば、農業省(Kementerian Pertanian)の広告記事にはKUPS(kredit usaha pembibitan sapi牛の購入のための事業ローン)という略語が登場する。近年インドネシアでは牛肉の消費が増えているが、牛肉の大部分は輸入に依存しており、広告記事には、農業省がこの輸入を2013年までにゼロにするという目標をたて、KUPSを開始したことが書かれている。
住宅省(Kementerian Negara Perumahan Rakyat)はGN-PSR(gerakan nasional pembangunan sejuta rumah百万住居供給国家プロジェクト)を推進中である。住宅省の広告記事には、住宅省が低所得者層の百万家庭に住居を供給するためにこのプロジェクトに取り組んでいることが詳しく書かれている。
このように、各省庁の広告記事は、いかにインドネシア政府が国家の問題に取り組んでいるかを広報し、国民に対して政府のイメージを高めようとしていることがうかがえる。なお、資料は2005年から2010年のTEMPO誌から収集している。

【発表2】

 氏名  舟田京子(神田外語大学)
 テーマ  「マレーシアにおける独立前後のマレー語の立場」
 要旨  イギリス植民地政府下で教育制度の整った最初の師範学校であるスルタン・イドリス師範学校が1922年にタンジュン・マリムに開校された。しかしながら1900年から英語が公用語となっておりマレー語は地方語という立場に甘んじていた。
次第にナショナリズムの波が押し寄せ1950年代に入ると文学者団体ASAS50が中心となり、言語・文学会議を通しマレー語の地位向上に関心が傾けられるようになった。 時を同じくして言語出版局も誕生した。
UMNOの公約もあり、独立の際にはマレー語が国家独立の象徴として国語となった。
そして独立後はマレー人優先政策が実施されるようになった。

【発表3】

 氏名  野村 亨(慶應義塾大学総合政策学部)
 テーマ  「インドネシアの鉄道事情;現状と将来」(Perkembangan Kereta Api Indonesia;  Keadaan Pada Masa Kini dan Perspektifnya)
 要旨  1867年、中部ジャワ北岸の都市スマランとその郊外タングン間26kmにインドネシア最初の鉄道が開通した。これは我が国最初の鉄道、新橋・横浜間の鉄道 (1872年)より5年先輩にあたる。また多くのアジア諸国の鉄道が官営鉄道として国家の政策で建設が開始されたのに対してインドネシア最初の鉄道は「オランダ領東インド鉄道」(蘭印鉄道)という民間会社によって建設された。
一方オランダ領東インド政府自身の手による鉄道も首都バタフィア近郊を中心として建設され、以後ジャワ島各地に路線を伸ばしていった。オランダ領時代を通じて、ジャワ、スマトラおよびマドゥラ島各地に「鉄道」(spoorweg)よりも軽規格の「軌道」(tramweg)と称する私鉄がいくつも建設された。
これらの官営鉄道と私鉄は第二次世界大戦中の日本による軍事占領期間にすべて「陸輸総局」のもとに統合され、この体制が戦後の独立インドネシア共和国に継承された。
戦後、長らく「過去の遺物」として放置されてきたインドネシア鉄道は1999年に民営化されて「インドネシア鉄道株式会社」(PT. Kereta Api Indonesia Persero)が設立され、優等列車の増発、サービスの改善、軌道改良などが行われるようになった。また日本から中古車両の提供を受けて都市近郊鉄道のサービスも改善されつつある。これらの現状をこれまでに収集した資料等をもとに発表したい。

【発表4】

 氏名  大形里美(九州国際大学)
 テーマ  「『近代派』イスラム組織ムハマディヤーの伝統と現代インドネシア・イスラム社会」
 要旨  2012年で創立100周年を迎えるインドネシアを代表する近代派イスラム組織ムハマディヤーを取り上げ、その教義的な伝統と変化、そして現代インドネシア・イスラム社会における同組織の運動の特徴を考察する。報告では、特に近年のイスラム思想の多様化の中でムハマディヤー組織内部においても思想が多様化し、保守派とリベラル派の対立が生じている現状や、ムハマディヤーと外部の諸組織とのつながりについても考察したい。

【発表5】

 氏名  相武知里(南山大学大学院人間文化研究科)
 テーマ  「第二言語習得理論を応用したインドネシア語教材について」
 要旨  初級インドネシア語教材では従来、インドネシアにおいて想定される会話がモデル会話として多く取り上げられてきた。それらは、実際にインドネシアを訪れる学習者にとっては実用性があると考えることができる。しかし、インドネシアを訪れることのない学習者にとっては直接的に関係のある事柄ではなく、必ずしも実用性があるとは言い切れないだろう。本研究では後者型学習者のインドネシア語習得に配慮して、日本における「接触場面」を想定したモデル会話を、初級インドネシア語教材の中で取り上げることについて考えてみる。

以上

 

日本インドネシア学会第41回研究大会プログラム

日時: 2010年11月13日(土)、14日(日)

場所: 拓殖大学文京キャンパス C館404教室 (11月13日)

   : 拓殖大学文京キャンパス F館(国際教育会館)301教室 (11月14日)

第1日、2日の報告要旨

   : 第41回研究大会 報告要旨


第1日  11月13日(土)

12:30          受付開始

13:00          開会挨拶  左藤正範会長

                テーマ発表 「インドネシア語の文法研究」

13:05~13:15     趣旨説明 安田和彦(京都産業大学)

13:15~13:45     発表1
佐々木重次(前東京外国語大学)
「幾つかの新しいイラスト(図解文法)」

13:45~14:15     発表2
長南一豪(獨協大学)
「mau+受身の両義性について」

14:15~14:45     発表3
スリ・ブディ・レスタリ(東京外国語大学博士課程修了)
「インドネシア語口語における ‘sama’の用法」

14:45~15:00      休憩

15:00~15:30     発表4
関昌也 (前拓殖大学)
「私見構文論・動詞論」

15:30~16:30     総合討論

16:30~17:30     第41回日本インドネシア学会総会

18:00~20:30     懇親会

                場所:茗渓会館


第2日  11月14日(日)

9:00           受付開始

              自由研究発表

9:20~9:50       発表1
エディ プリヨノ(京都産業大学)
“Sebuah Tinjauan atas Singkatan di Advertorial Kementerian RI”
(インドネシア政府省庁による広報記事の中の略語についての一分析)

                司会進行:柏村彰夫(京都外国語専門学校)

9:50~10:20      発表2
舟田京子(神田外語大学)
「マレーシアにおける独立前後のマレー語の立場」

                司会進行:左藤正範(京都産業大学)

10:20~10:50     発表3
野村亨(慶應義塾大学)
「インドネシアの鉄道事情;現状と将来」

                司会進行:山本春樹(天理大学)

10:50~11:05     休憩

11:05~11:35     発表4
大形里美(九州国際大学)
「『近代派』イスラム組織ムハマディヤーの伝統と現代インドネシア・イスラム社会」

                司会進行:竹下愛(大阪大学)

11:35~12:05      発表5
相武知里(南山大学大学院人間文化研究科)
「第二言語習得理論を応用したインドネシア語教材について」

                司会進行:降幡正志(東京外国語大学)

12:05~12:35     特別講演
Dr.David Hill氏 (マードック大学教授)
“Pengajaran Bahasa Indonesia di Universitas Australia: Situasi Sekarang dan Strategi Masa Depan”

                司会進行:森山幹弘(南山大学)

                閉会挨拶 小野沢純(幹事校 拓殖大学)

 

42abstract

日本インドネシア学会第42回研究大会 報告要旨


第1日  11月12日(土)

自由研究発表

【発表1】

 氏名  Andi Irma Sarjani(拓殖大学大学院言語教育研究科言語教育学専攻)
 テーマ  「インドネシア語の受動態と日本語の受身との対照」
 要旨  【キーワード】受動態、インドネシア語、接頭語受動態(受身)に関する研究は古くからなされている(山田孝雄、1908)(松下大三郎、1930)が、現在受動態や日本語の受身に関する研究は直接受身と関節受身を取り上げたもの(寺村秀夫、1982)(金田一春彦、1988)(仁田、1991)、まともの受身と部分の受身を取り上げたもの(森山、1988)、そして自他動詞に関する人の視点と物の視点から見る研究(石川、1991)など数多く行われている。一方、インドネシア語の受身に関する研究はあまり多くない(Hasan Alwi, 1988)。インドネシア語の受身は3種類の接頭辞を動詞につけることによって作られるが、この3種類の接頭語によって作られる受身形がどのような用法やニュアンスの違いを持つのかまだ十分に研究されていない。そこで著者は受身形に含まれている全ての接頭語に調査を行った。 インドネシア語の動詞には、形態の変化がなく、過去形・過去分詞もなく、動詞を助動詞と併用することがあるのみである。したがって、インドネシア語の形態は英語よりはるかに簡単といえよう。しかし、難しいことは、動詞の語根に接頭語・接尾語を結びつけ、様々な派生語を作ることである(希多、2005)。 また、インドネシア語の受動態は、形態的に受身を表すものと意味的に受身を表すものの二つがあるが、その点が日本語の受身とは異なり、両言語を把握する上でポイントとなる。このことを明らかにしていく。

【発表2】

 氏名  Ari Santoso(慶應大学)
 テーマ ‘Nama saya Sazae. Ini keluarga Saya.’: Penerapan pembelajaran aktif di kelas Bahasa Indonesia untuk pemula.
 要旨     Pembelajaran aktif sebenarnya bukan hal baru di dunia pendidikan khususnya di Indonesia. Pembelajaran aktif sudah diterapkan dari tingkat Sekolah Dasar sampai dengan Menengah Atas. Metode pembelajaran ini mengaktifkan partisipasi pembelajar dari semua segi. Sebagaimana pembelajaran aktif di sekolah, penerapan pembelajaran aktif di perguruan tinggi didasarkan pada prinsip bahwa cara belajar terbaik bagi mahasiswa adalah dengan melakukan, dengan menggunakan semua inderanya, dan dengan mengeksplorasi lingkungannya yang terdiri atas orang, hal, tempat dan kejadian yang terjadi dalam kehidupan nyata (pembelajaran kontekstual dan pemecahan masalah). Selain itu, melalui belajar dari pengalaman langsung dan nyata ini, hasil belajar akan lebih optimal dan bermakna bagi mahasiswa. Dengan tujuan membuat kelas pengajaran Bahasa Indonesia menjadi lebih menarik dan bermakna, penulis mencoba mengadaptasikan latihan-latihan di kelas yang mencerminkan pembelajaran aktif. Pembelajar diarahkan untuk menghubungkan schema atau latar belakang yang mereka ketahui sewaktu belajar kosakata keluarga. Karakter di komik Sazae digunakan untuk mengenalkan kosakata keluarga tanpa menggunakan bahasa pengantar lain selain Bahasa Indonesia (dalam hal ini Bahasa Jepang atau Inggris). Presentasi ini mengulas tentang salah satu aktifitas di kelas yang mengadaptasikan pembelajaran aktif serta memberikan gambaran tentang tantangan-tantangan yang ada. Presentasi ini juga akan melaporkan pengalaman belajar dari pembelajar di kelas Bahasa Indonesia untuk pemula tentang pembelajaran aktif.

【発表3】

 氏名  長南 一豪(獨協大学非常勤講師)
 テーマ  「インドネシア語の名詞句内の語順について」
 要旨  言語間の語順の違いは、かつては語順パラメータによって生じると考えられていたが、Pollock(1989), Kayne(1994)以来、通言語的な基底語順を仮定し、機能範疇と移動の有無による説明が試みられている。名詞句内の語順についてはCinque(2010)等があるが、この考え方によれば、インドネシア語の名詞句内の語順(dua ekor anjing kecil itu=数詞+助数詞+名詞+形容詞+指示詞)はどのように説明できるだろうか。さらにsepuluh ekor anjing-anjingが不適格な理由について考える。

第2日  11月13日(日)

【発表1】

氏名  三宅 良美(秋田大学教育文化学部)
 テーマ  「インドネシアの英語借用語 -雑誌の人生相談をケース・スタディーにして-」
 要旨  多くの国々と同様、ここ20年ほどの間にインドネシアにおける英語の地位は極めて重要なものとなってきた。一方、その役割は他の国々と比べてユニークなところもある。国語であるインドネシア語そのものが独立の際に「国語」と新たに定められたリンガ・フランカであったからである。インドネシア語そのものがインドネシア人にとっては成長と共に習得していく外国語であった。一方、英語に焦点をあてると、インドネシア語への英語の語彙の吸収も著しい。ここでは、インドネシア語の形成の背景を述べたのち、英語の借用語とインドネシア語との関係について論じ、さらに、インドネシアの倫理観や伝統意識と英語が、メディア・リテラシーとどのように関わっているか、を女性雑誌の人生相談欄と心理学者のアドバイスを通して論じるものである。

【発表2】

 氏名  野村 亨(慶應義塾大学総合政策学部)
 テーマ  「蘭領東インド期の鉄道1867 – 1941」 Perkembangan Kereta Api pada Zaman Hindia Belanda;1867-1941;
 要旨     Pada tahun 1867, kereta api yang pertama di tanah Jawa mulai beroperasi selama 26 km. antara Semarang dan Tanggung. Di Indonesia, kereta api yang pertama ini dibina oleh salah satu perusahaan swasta, yaitu Nederlandsch-Indische Spoorweg Maatschappij, yang disingkatkan sebagai NIS. Sementara ini, Pemerintah Kolonial Hindia Timur juga membina kereta api di sekitar Batavia, ibu kotanya. Kemudian pihak pemerintah kolonial juga mulai membina kereta api ke beberapa daerah di Jawa. Selain daripada kereta api tersebut, pada zaman kolonial Belanda, beberapa buah perusahaan swastapun membina “tramweg”, yaitu, kereta api ringan. Tahun yang lalu, saya telah mempersembahkan sebuah penelitian mengenai situasi kereta api Indonesia pada zaman merdeka sampai masa kini. Namun, tahun ini saya ingin mempersembahkan sebuah penelitian mengenai situasi kereta api pada zaman Hindia Belanda, yaitu antara 1867 -1941. Khususnya, berdasar beberapa jenis sumber yang diperolehi mulalui kajian saya di Indonesia, saya ingin menitikberatkan (1) masalah perbedazan “gauge” di Jawa Tengah, (2) masalah elektrifikasi sekitar Batavia, dan (3) masalah kecepatan operasi kereta api.
 インドネシアで、現在もなお鉄道が存在するのはジャワ島およびスマトラ島の2島に限られる。またかつて鉄道が存在したのは、スラウェシ島およびマドゥラ島の2島である。 昨年11月に拓殖大学で行われた日本インドネシア学会では、主として過去半世紀における鉄道施設および車両の改善の状況について紹介した。今回は、これまで収集した各種資料に基づき、19世紀後半の鉄道黎明期から1930年代にかけてのオランダ領東インド期における鉄道事業の概況について(1)中部ジャワにおける改軌問題、(2)バタフィア近郊の電化事業、および(3)バタフィア・バンドゥン間の列車速度の向上問題について紹介したい。 インドネシア最初の鉄道は、中部ジャワのスマラン近郊において、民間会社、オランダ東インド鉄道会社(Nederlandsch-Indische Spoorweg Maatschappij、略称NIS)によって建設され、1867年(慶応3年)8月10日にスマラン・タングン(Tanggung)間26kmが開通した。この路線は1435mmの標準軌間で建設され、後にソロを経てヨグヤカルタまで開通した。 1873年(明治6年)1月13日、蘭印鉄道会社は約2年の工期をかけて首府バタフィアとその南郊にある高原都市バイテンゾルフ(Buitenzorg、現ボゴール、Bogor)との間105kmに1067mmの狭軌鉄道を敷設した。 1881年、中部ジャワに開業したスマラン・ヨアナ蒸気軌道会社(SamarangJoana Stoomtram Maatschappij、略称SJS)を嚆矢として以後、ジャワでは合計12もの大小さまざまな蒸気軌道会社が設立された。第二次世界大戦勃発直前の1939年当時、ジャワには合計9社の軌道会社が存在し、合計1368kmもの路線を経営していた。 1884年(明治17年)、東ジャワから延びてきた蘭印国鉄線は中部ジャワのスラカルタ(Surakarta)(別名ソロ)でスマラン・ヨグヤカルタ間を結ぶ既存の蘭印鉄道線(1435mm軌間)につながった。1894年ついにバタフィアとスラバヤとを結ぶ線路が完成し、ジャワ島の東西にある二大都市は鉄道線で結ばれるようになった。 蘭印鉄道線であるヨグヤカルタ・スラカルタ間(約60km)は1435mm軌間、残りの蘭印国鉄の線区は1067mm軌間と、ゲージが異なるため、乗客はヨグヤカルタ・スラカルタ両駅で乗り換えを余儀なくさせられた。後年1899年にヨグヤカルタ・スラカルタ区間は1435mmと1067mmの3線区間となり、1905年2月1日からは相互乗り入れ運転が実施されるようになった。さらに1929年5月1日、念願だったヨグヤカルタ・スラカルタ間が1067mm軌間に改軌され、バタフィア・スラバヤ間824kmは13時間で結ばれるようになった。 さらに第二次世界大戦勃発直前の1939年には「一日急行」(Eendaagsche-Expres)が平均時速71.7kmで走行し、両地を11時間27分で結んだ。 1914年、第一次世界大戦勃発にともなってオランダ本国と東南アジアとを結ぶ航路が途絶し、物資や旅客の輸送が不可能となり、良質な石炭が輸入できなくなってしまった。大戦後、オランダ植民地当局はそれまでの蒸気機関車に替えて電気動力を導入すべく検討を開始した。その結果、蘭印国鉄の開通50周年記念にあたる1925年(大正14年)、バタフィアとその南郊約100kmにあるバイテンゾルフとの間、およびバタフィア市街周辺のいくつかの線区が直流1500ボルトで電化され、オランダ製の大型電車が3輌ないし4輌編成で走り始めた。 1930年代にはジャワの鉄道はスピードおよび運転回数の点で著しい改善を見た。バタフィア・バンドン間の列車は、1934年11月のダイヤ改正で所要時間も2時間45分に短縮された。この区間には最近まで急行列車パラヒャンガン号(Parahyangan)が早朝5時から走っており、所要時間は約2時間半ないし3時間となっていた。

【発表3】

 氏名  大形 里美(九州国際大学)
 テーマ  「インドネシアにおける女子割礼をめぐる状況~女子割礼をめぐる言説とその実践~」
 要旨  本発表では、女性に対する深刻な人権侵害であるとして国際的に非難されている女子割礼をテーマに、インドネシアにおける女子割礼をめぐる言説と慣行をめぐる実態を分析し、どのような特殊性がみられるのかを考察する。 中東、アフリカを中心にイスラム世界で広範囲に行われてきた女子割礼は、インドネシアにおいても密かに実施されてきた慣行である。現在、中東やアフリカ諸国においては、女子割礼の慣行に対して、世俗派勢力だけでなく、イスラム学者たちもその廃絶を呼びかける運動を繰り広げている。そうした国際的な状況がある一方で、インドネシアの伝統派イスラム組織NUは、2010年3月の全国大会において、女子割礼をイスラム法学的に「ワジーブ(義務)」あるいは「スンナ(奨励される行為)」であるとするファトワー(法的判断)を出した。本発表では、世界最大のイスラム教国であるインドネシアにおいて、国内最大のイスラム団体であるNUが、なぜ国際的趨勢に逆行する形で、女子割礼を「ワジーブ」あるいは「スンナ」であるとするような法的判断を出したのか、同国における女子割礼をめぐる言説と慣行の実態を踏まえつつ、同組織の大会での議論を考察する。 また発表では、2010年7月に、近代派イスラム組織ムハマディヤーの全国大会に出席していた組織幹部を対象に、女子割礼に対する意識と実践について質問した社会学的調の結果も合わせて報告する予定である。

【発表4】

 氏名  Rakhmat Soleh(東京外国語大学)
 テーマ  Pembelajaran Sastra Bandingan Indonesia-Jepang: Sebuah Pengalaman Mengajar Bahasa dan Sastra Indonesia di TUFS
 要旨      Makalah ini saya tulis berdasarkan pengalaman mengajar selama tiga semester di Jurusan Bahasa Indonesia, Universitas Kajian Asing Tokyo. Mengajarkan materi bahasa dan sastra Indonesia kepada mahasiswa asing yang berasal dari satu negara, tidaklah mudah. Pengalaman saya mengajar selama 10 tahun di INCULS (UGM) tidak serta merta bisa diterapkan TUFS. Di INCULS, mahasiswa terdiri atas mahasiswa dari berbagai negara, suasana kelas lebih hidup. Namun, kelas di TUFS hanya terdiri atas mahasiswa Jepang yang cenderung lebih pendiam. Untuk itu diperlukan cara-cara pembelajaran yang bisa membuat mahasiswa lebih aktif. Salah satu cara yang saya praktikkan adalah memasukkan materi pembelajaran sastra bandingan Indonesia-Jepang. Materi sastra bandingan yang disampaikan baru terbatas pada sastra tradisional, sastra yang hidup di tengah-tengah masyarakat. Materi pertama adalah cerita rakyat, cerita yang hidup dalam tradisi lisan. Diceritakan oleh tukang cerita dari kampung ke kampung atau oleh ibu kepada anaknya menjelang tidur. Di Indonesia cerita rakyat setidaknya dapat dikelompokkan menjadi 4 jenis, yaitu (1) cerita asal-usul, (2) cerita binatang, (3) cerita jenaka, dan (4) cerita pelipur lara. Jenis-jenis cerita ini terdapat juga di Jepang. Materi yang kedua adalah puisi tradisional Indonesia dan Jepang, khususnya pantun, haiku, dan syair, puisi yang berpola. Untuk lebih mudah mempelajarinya, mahasiswa terlebih dulu disuruh mengingat dan membaca haiku serta mengupas isinya, setelah itu mencermati pola serta isi pantun dan syair. Materi selanjutnya adalah pepatah atau peribahasa Indonesia dan Jepang (kotowaza). Pepatah atau peribahasa merupakan ungkapan yang terdiri atas kelompok kata atau kalimat ringkas padat, berisi perumpamaan, nasihat, prinsip atau aturan tingkah laku. Kesimpulan saya, pembelajaran sastra bandingan di kelas merupakan salah satu cara yang efektif untuk mengajarkan bahasa, sastra, dan budaya Indonesia, di samping untuk menghidupkan kelas menjadi lebih aktif, baik secara lisan maupun tertulis.

【発表5】

 氏名  Suyoto(神田外国語大学)
 テーマ  KOLABORASI ‘DUAL SYSTEM’ DALAM PENYELENGGARAAN PROGRAM BIPA: MODEL KERJA SAMA PROGRAM INDONESIA – JEPANG
 要旨     Sebagai salah satu perguruan tinggi di Jepang yang menyelenggarakan program pembelajaran Bahasa Indonesia bagi Penutur Asing (BIPA), Universitas Bahasa Asing Kanda memiliki obsesi untuk memberikan layanan sebaik mungkin kepada mahasiswa sehingga efektivitas proses dan capaian hasil pembelajaran bisa optimal. Target pembelajaran yang ditetapkan dalam garis besar program pembelajaran (GBPP) di prodi BIPA Kanda adalah mahasiswa memiliki kemampuan berbahasa Indonesia secara baik dan benar, baik dalam komunikasi lisan maupun tulis yang diorientasikan pada penyiapan mahasiswa untuk mengikuti Ujian Kompetensi Bahasa Indonesia (UKBI). Oleh karena itu, pembelajaran difokuskan pada bahasa Indonesia yang terdidik (educated), yakni bahasa Indonesia yang berterima, baik secara gramatikal maupun kontekstual. Untuk itu di samping melakukan perencanaan dan penatalaksanaan program secara saksama, prodi BIPA Kanda juga melakukan inovasi dalam pengelolaan dan pemberdayaan pembelajaran. Salah satu upaya inovatif yang dilakukan adalah dengan menjalin kerja sama (kolaborasi) secara ’dual system’dengan salah satu institusi penyelenggara BIPA di Indonesia, yaitu Indonesian Studies Program di Malangkuçeçwara School of Economics (ISP MCE) Malang. Konsep pendekatan ’dual system’ yang dijadikan landasan dalam pemolaan program kolaborasi tersebut merujuk pada model sistem ganda, yaitu penatalaksanaan dan penyelenggaraan program secara bersama-sama antara kedua institusi. Penatalaksanaan bersama tersebut meliputi aspek-aspek: (1) setting atau latar pembelajaran; (2) tujuan atau sasaran pembelajaran; (3) muatan isi pembelajaran; (4) model pembelajaran; dan (5) pemberdayaan hasil pembelajaran. Selain memberikan manfaat secara institusional, program kolaboratif ’dual system’ tersebut juga membuahkan manfaat psikologis yang sangat positif bagi mahasiswa, yakni mampu membangkitkan semangat dan motivasi belajar, serta minat mahasiswa untuk lebih mengenali, mendekati, dan menggauli bahasa, budaya, dan masyarakat Indonesia. Di samping itu, capaian hasil pembelajaran yang diperoleh mahasiswa dapat dipertanggungjawabkan, baik secara operasional maupun akademik. Kata kunci: kolaborasi, dual system, program BIPA.

【発表6】

 氏名 Totok Suhardijanto dan Ivan Lanin(Universitas Indonesia/慶應大学)
 テーマ Tesaurus Daring Bahasa Indonesia: Sistem Penyajian dan Pengembangannya, serta Upaya Penentuan Relasi Makna Antonimi
 要旨     Keberadaan tesaurus dalam sebuah khazanah budaya dan bahasa tentu saja mempunyai peran yang krusial dalam memelihara, mengembangkan, dan memantapkan budaya dan bahasa yang bersangkutan. Kehadiran Tesaurus Bahasa Indonesia (TBI) (2005) dan Tesaurus Alfabetis Bahasa Indonesia (TABI) (2010) tentu saja menjadi tonggak penting dalam sejarah bahasa Indonesia. Namun, tentu saja, masih ada kekurangan yang terdapat pada kedua tesaurus tersebut. Berkaitan dengan tesaurus dalam bahasa Indonesia, ada dua hal yang disajikan pada makalah ini. Pertama, pada makalah ini akan dibahas upaya penyusunan dan pengembangan versi daring TBI yang diberi nama Tesamoko, termasuk juga kendala dan tantangan dalam pewujudannya. Pilihan untuk menyajikan tesaurus secara daring tentu saja memberikan kesempatan kepada lebih banyak orang untuk dapat mengakses informasi yang ada di dalam tesaurus. Namun, tentu saja, ada berbagai persoalan yang harus dihadapi baik yang menyangkut aspek leksikografis dan leksikologis, maupun yang menyangkut aspek teknis desain aplikasi daring-nya. Kedua, yang akan ditampilkan dalam makalah ini adalah kekurangan yang masih mencolok dalam tesaurus bahasa Indonesia, yakni tiadanya penyajian relasi makna antonimi. Oleh karena itu, dalam makalah ini akan disajikan sebuah kajian singkat mengenai sebuah metode penemuan antonim dengan pendekatan komputasional, khususnya model ruang vektor. Metode ini bisa digunakan untuk menemukan beberapa kandidat antonim berdasarkan penghitungan jarak antarkata. Tentu saja, metode ini dapat membantu penyusunan tesaurus bahasa Indonesia yang pada tahap ini masih belum menyajikan relasi antonimi.