第47回日本インドネシア学会大会発表要旨集
第1日目 2016年11月19日(土曜日)
2. Liliana Muliastuti (Ketua Umum Afiliasi Pengajar dan Pegiat BIPA)
Peran APPBIPA dalam upaya standardisasi pengajar BIPA
Lembaga penyelenggara pengajaran BIPA baik di dalam maupun di luar Indonesia akan semakin berperan penting dalam memenuhi tantangan global. Mereka juga menduduki fungsi strategis dalam menjalankan amanah Undang-Undang Nomor 24 tahun 2009. Pasal 44 ayat 1 dalam UU tersebut berbunyi: “Pemerintah meningkatkan fungsi Bahasa Indonesia menjadi bahasa internasional secara bertahap, sistematis, dan berkelanjutan.” Implikasi dari UU tersebut adalah berbagai komponen pengajaran BIPA harus menjadi perhatian bagi para pengajar dan pegiat BIPA. Berbagai upaya untuk standardisasi pengajaran BIPA dilakukan sepanjang tahun 2015-2016. Afiliasi Pengajar dan Pegiat BIPA(APPBIPA) turut serta di dalamnya, Apa sajakah upaya yang dilakukan pemerintah Indonesia? Apa peran APPBIPA dalam kegiatan tersebut? Makalah ini akan membahas masalah tersebut.
3.森山幹弘、原真由子、降幡正志 共同発表(南山大学、大阪大学、東京外国語大学)
インドネシア語基本文法の記述:教材作成のための共同研究からの報告
Suatu Diskripsi Tata Bahasa Indonesia yang Mendasar: laporan dari penelitian bersama untuk penyusunan bahan pengajaran
インドネシア語の基本教材について本学会において、2011年にはテーマ発表として日本におけるインドネシア語教育の問題点を共有し、どのような課題に対して取り組んでいかなければならないかを議論した。次いで、2013年のテーマ発表では、インドネシア語の会話の授業について、ネイティブ教員の報告を手がかりとして現状の認識と共通課題を議論した。今回の発表は、それらの発表で共有した課題を踏まえて2013年度から開始した科学研究費による研究「日本におけるインドネシア語教材の分析と教材バンクの創設」(2013年度〜2015年度)を終了したことに合わせ、その研究の成果の一部を発表するものである。
研究成果として目指していたものは、日本のインドネシア語教育機関において、教師が参照することを目的とした基本文法を記述することであった。それは、インドネシア語の運用(読む、書く、聞く、話す)のために必要な基本的な文法であり、応用的な運用能力を身につけていくための基礎を形成する文法項目と位置づけたものである。参照文法という目的を踏まえて、文法を教える際に必要不可欠な言語学的観点から説明することを旨としつつ、現在の時点での標準的、基本的と考えられる記述を行った。具体的な記述は、インドネシア語の特性から、接辞法を中心にした形態論と統語論を中心としたものとなっている。今回の発表は、各文法項目の基本的な構成(1. 概要 2. 形態 3. 機能(文法的機能、意味的機能)4. 補足)からなる幾つかの文法項目を例として取り上げ、上記の方針に則って行ってきた3年間余りの共同研究の成果を発表し、インドネシア語を現場で教えている本学会の会員の批判を仰ぐものである。
- Edi Priyono (京都産業大学)
Penggunaan Ponsel Cerdas dalam Pembelajaran Percakapan
(スマートフォンを使った会話の授業)
本発表では、スマートフォンを使ったインドネシア語会話の授業について考察する。クラスのレベルは入門で、授業の流れは次の通りである。
・まず、全員がモデル会話を学習する。そして、コミュニケーションカードを用いて4人の異なる友達と会話する。
・次にペアを組む(人数により調整)。スマートフォンの録音機能を利用し、ペアワークの会話を各自が録音し、それを再生して発音をチェックする。うまく会話全体を発音できるまで何度もやり直しが可能であり、学生自身が能動的に発音を学ぶ。
・ベストの録音ができたペアは教員に報告する。学生たちは教員の前でもう一度会話をおこない、教員は自身の録音機に録音して、評価の一部に組み入れる。
このような授業で学生が能動的に学習し、同時にコミュニケーション能力も高める。
- 浦野崇央(摂南大学)、Cicilia Tantri Suryawati (Universitas Dr.Soetomo, Surabaya)
留学に際する教育カリキュラム統合の可能性
──摂南大学生によるストモ博士大学での学修を事例として──
Kurikulum yang Berkesinambungan antara Perguruan Tinggi di Jepang dan di Luar Negeri : Studi Kasus Kurikulum di Universitas Dr. Soetomo bagi mahasiswa Universitas Setsunan
近年、世界中の各大学は留学連携協定(MOU)を締結し、学生の送り出し・受け入れを行っている。しかしながら、留学の送り出し・受け入れはほとんどの場合、一方的なものに過ぎないように思われる。そこで、本発表においては、摂南大学の場合を事例にして、所属大学と留学先大学における教育カリキュラム連携/統合の可能性を探ることとしたい。
Beberapa tahun belakangan ini universitas-universitas di seluruh dunia menjalin kerjasama antar perguruan tinggi dengan ditandai oleh Penandatanganan Nota Kesepahaman (MOU). Berdasar pada MOU, perguruan tinggi tersebut akan saling mengirim dan menerima mahasiswa. Dengan adanya kerjasama, kurikulum pendidikan yang digunakan oleh kedua belah pihak seyogyanya terintegrasi. Tetapi pada kenyataannya perguruan tinggi pengirim dan penerima mahasiswa hampir tidak menggunakan kurikulum dengan pola dwiarah melainkan hanya sepihak saja, maka melalui makalah ini kami akan melakukan penelitian mengenai kemungkinan integrasi kurikulum kedua belah pihak dengan diberlakukannya kurikulum yang berkesinambungan antara Universitas Setsunan, Osaka dengan Universitas Dr. Soetomo, Surabaya- Indonesia.
- 長南一豪 (ダルマプルサダ大学)
インドネシア人に多い日本語の誤りの分析
Analisis Kesalahan Bahasa Jepang oleh Orang Indonesia
外国語の学習およびその使用に際して、さまざまな誤りが生じる。それらの誤りは、文法の無理解や語彙力の不足によるものもあれば、母語の干渉や文化・習慣の違いによるものもある。では、インドネシア人に多い日本語の誤りとはどのようなものであろうか。高校生の日本語スピーチコンテストの会話台本をもとに、インドネシア人の「日本語の間違いあるある」を紹介し、その原因を分析するとともに、対策を考える。
- 大形里美 (九州国際大学)
イスラム新興ビジネスの担い手:Hijabers Community メンバーたちのイスラム教義理解と実践 のあり方〜実証研究の成果から見えてきたこと〜
Pelaku bisnis Islam yang baru:Pengertian ajaran Islam dan pelaksanaannya di antara para anggota Hijabers Community.-yang terlihat dari penelitian sosiologis di lapangan-
イスラム新興ビジネスの活況が注目される近年のインドネシアにおいて、華やかなイスラミック・ファッションが流行している。本報告では、2012-2014年にジャカルタとジョクジャカルタで実施したHijabers Communityのメンバーたちのイスラム教義理解と実践のあり方についての意識調査の結果を、同時期に美容サロン利用者を対象として実施した意識調査の結果と比較することで、Hijabers Communityに属するメンバーたちの特徴を明らかにし、華やかなイスラミック・ファッションがどの程度サファリー主義派の思想に影響を受けているのかを明らかにする。
(*Hijabers Communityとは、2011年から各地で結成されたヒジャーブをおしゃれに着用しようとする女性たちの集まり。サラフィー主義とは、預言者ムハンマドとその後数世代が生きていた時代のイスラム社会のあり方を理想と考え、当時のイスラム法のあり方が、あらゆる時代、あらゆる地域において有効であると考える思想。)
第2日目 2016年11月20日(日曜日)
- Ariestyani Wahyu Perwita Sari (アリエスティアニ・ワハユ・ペルウィタサリ)
(学習院大学人文科学研究科日本語日本文学専攻博士後期課程)
インドネシア語における描写述語とその周辺
英語には、Claire left the room angryのように、描写述語と呼ばれるangryのような形容詞句を含む構文がある。Himmelmann and Schultze-Brendt (2005)では、描写述語を類型論的に捉えようとした試みが行われており、英語などの言語では、描写述語と副詞句の区別を形態的に明示することができるが、多くの言語において、描写述語が他の副詞句と形態的に明白に区別されるわけではないと指摘されている。本発表の目的は、インドネシア語では、描写述語がどのような振る舞いを見せるか、を明らかにすることである。
- 稲垣和也 (京都大学)
インドネシア語オノマトペ研究序説
A preliminary research on Indonesian ideophones
インドネシア語におけるオノマトペについて、既存の辞書にエントリーされているデータと母語話者によるデータに基づき、その音象徴機能、音素配列、省略や音位転換などの音韻プロセス、語構成、統語法の共時的分析を提示してインドネシア語におけるオノマトペの共時的システムの一部を明らかにする。また、各オノマトペの通時的変遷についても概観し、PMPないしPANの祖形からの反映を辿ることで共時的システムの妥当性を部分的に補完する。
- Tiwuk Ikhtiari(ティウク・イヒティアリ)(京都大学大学院人間・環境学研究科)
インドネシア語における「措定文」及び「指定文」について
Kalimat Predikatif dan Kalimat Spesifik dalam Bahasa Indonesia
「措定文」とは、例えば、“Dia seorang pelajar” ‘He is a student.’ や “Lukisannya indah.” ‘The painting is beautiful.’ などという主語の指示対象に対して属性あるいは特質を帰する文である。一方、「指定文」とは 、“Yang menolong saya Ali.” ‘It is Ali who helped me.’ といった、変項を含む名詞句とその値を伴う文である。本発表では、それぞれの構造について先行研究に基づく説明を試み、更に、主に「指定文」における日本語との相違点を考察する。
- 澤井志保 (天理大学)
香港で働くインドネシア人の家事労働者のイスラーム文学創作グループに見られるインターセクショナリティ
The notion of Intersectionality in an Islamic-writing group of Indonesian domestic workers in Hong Kong
本発表では、香港で働くインドネシア人家事労働者によるイスラーム文学創作グループAについて検討し、メンバーがかかえるジェンダー、職業、国籍と宗教にまつわる周縁性が、メンバーの語りと創作されたテクストの両方においてどのように表象されているかを考察する。本発表では特に、上記のような周縁性が、語りとテクストの中で転覆されたり、再文脈化される点に注目し、文学創作がどのようにメンバーの主体性の表現に役立つかについて考える。
- 工藤尚子 (神田外語大学)
宮武正道とインドネシア語研究-軍事郵便を中心として-
Seido Miyatake as an Indonesian Linguist― with a special reference to military correspondence
戦前、戦中期に活躍した宮武正道(1912-1944)は、当時、世界最大の語数を擁した『標準馬來語大辭典』(1943)を編纂している。「生きたマレー語」を大事にした宮武は、インドネシアの新聞などから単語を集めたのみならず、日本軍政期においては、現地に赴いた軍人からも情報を収集していた。本発表では、このことを宮武宛の軍事郵便から明らかにし、彼のインドネシア語研究に関して、宮武家文書および宮武蔵書に基づいて論じる。